海洋生物が付着するとどうなる?

水中構造物(船舶、港湾施設、橋脚等)には海洋生物(フジツボ等)の付着が発生することが多く、これは、プレジャーボートのような小規模船舶から大型タンカー、発電所等の冷却用取水口等、幅広い水中構造物において生物付着の防止が研究課題となっています。

海洋生物の付着が招く船舶へのデメリット具体的には、船舶などの海水中に浸かる構造物に水生生物が付着すると、水流の抵抗が増加するため航行に大きなエネルギーロスをもたらすというデメリットがあります。つまり、船底が生物付着によって機能低下が発生することで、スピードが落ち、燃費が悪くなり、経済的にも環境的にもCO2排出の負担が大きくなるという問題が起きています。

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海域によって様々な海洋生物が付着します。
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約5か月(冬期)でこの状況

生物付着を防止するための「防汚塗料」と環境汚染

船底への生物付着によるデメリットは古くから認識されており、かつては生物が付着する度にフジツボ等を剥がしていましたが、科学の進歩と共に付着を抑制するための塗料が開発されました。これは「防汚塗料」と呼ばれ、船底に塗布して航行することで、徐々に塗料が水中に溶け出し、その成分によって水中生物の付着を防止するというものです。

かつて、抜群の防汚性能によって防汚塗料に積極的に含まれていた「有機スズ」は、1980年代までに幅広い船舶に用いられました。しかし、その後、塗料から溶け出した有機スズが海洋環境に影響するとされ、環境汚染防止のため、国際規制が設けられました。

現在は、防汚塗料による成分の溶け出しにおいて、環境汚染に直接的に繋がる成分は殆ど含まれていませんが、防汚塗料における仕組みの前提として、加水分解による成分の海中への溶け出しが必須となっているため、現在も防汚塗料による海洋への影響はゼロではありません。さらに、頻繁な航行が前提で防汚が可能となっている為、漁業関係船に比べて、係留時間の長いプレジャーボートに於いては効果は限定的です。

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日本だけでどれだけの船が海に浮いているか?

年度によって多少増減があるものの、JCI(日本小型船舶検査機構)で有効な船検証を持っているプレジャーボートとヨット(PWC除く)の在籍船の数は約18万隻ほどあり、このうち海上に係留している船舶を少なめに見て6割とした場合でも10万隻ほどになります。

この数の船にフジツボなどの貝類が付着し、艇速に影響を与えているとした場合、CO2排出量も相当なものになります。

私たちの目指す目標は、このシステムによって世界中の船舶が化石燃料の消費を減らし、地球への影響を少なくすることです。

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